2017年11月7日火曜日

欠席理由

まず最初に謝罪から入らせて頂きます。
私が午前の講義を欠席してしまったことを申し訳なく思っております。
しかし、それにはやむにやまれぬ理由があったことをここに申し開きさせて頂きたいのです。

まず一限でありますが、これは健康に十分な睡眠を取った結果であるため仕方ないのです。
もし、私が健康を犠牲にしてまで講義に間に合う時間に起きていたとしましょう。
虚ろな目で重い身体を引きずり学校へと向かう私。前後不覚にふらつく足取りでは、もしかすると、いや必ずや大きな事故を招いていたであろうことは想像に難くないでしょう。
そもそも何故早く眠りにつかなかったのか、と疑問に思い、あまつさえ私の行いを責める声も上がるでしょう。しかしそれは無知が故である以上、私は寛大な心で受け入れる用意がございます。
私が眠れなかったのは、何を隠そう一限に期待する心の大きすぎたためなのです。
学業へかける強い想いは私の目を爛々と輝かせ、遠足の前日の子供がごとく私のまぶたの閉じる機会を奪ってゆき、結果一限への出席が叶わなかったというのは、なんとも皮肉な話ではないでしょうか。
ここまで聞いた上で私を責めるような、そんな暴虐な行いが出来る人間などいますか(反語)

では二限には何故来なかったと、あなたはそうおっしゃりたい。分かります。
ならば、ここでその事由の一部始終を徹頭徹尾お伝えするしかないでしょう。
安全に登校出来るだけの睡眠を獲得した私が目覚めたのは、惜しくも二限に少しばかり間に合わないような時刻でした。
ならば、遅刻してでも出席出来ただろうと、あなたはそあおっしゃりたい。それも分かっていますよ。
しかし、これにもれっきとした考えあってのことなのだ。
二限が始まっている教室、熱い講義が繰り広げられ、受講生の目は黒板へと釘付けになり、頭の中には極彩色に学問の世界を描き始めていることでしょう。
そこに、なんとも不躾に私が遅れて入ってくる。
熱され膨張していた空気は急激に冷やされて萎み、窓には結露がしたたります。
受講生の目は私をチラと見た後にスマートフォンへと移行し、頭の中の学問の世界からは色が失われ、灰色の瓦礫となって崩れゆくのです。
あぁ、そんな残酷なことが私にどうして出来ましょうか。
いくら致し方ない理由によって遅刻することになったといえ、多くの人間が築いた美しい世界に亀裂を入れるような行いが許されようもありません。
だからこそ私には二限の講義を敬して遠ざける以外の選択肢がなかったのです。
学問への敬意ゆえの欠席であったことは皆様の心に刻んで頂きたいのです。

以上の理由から私は午前の授業をやむなく欠席するに至ったわけです。
ではなぜ、三、四限にも来なかったか、という問いが立てられるでしょう。
それはここまでの話を聞いた聡き皆様におかれましては、あえて説明するまでもないことです。全ては自然と導かれるはずです。

ここから先は自分の目で確かめてくれ!

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