2017年11月16日木曜日

慰霊祭

昼過ぎ、大学からのバスに乗って農場へ向かう。
約30分、バスの中で唯一カーテンのない非常口の横の椅子に座ったせいで、顔の右側だけが日焼けしたような気がする。
天気は快晴、気持ちいい秋晴れだったが、とにかく寒い。
風が吹くたびに体温が奪われていくのをひしひしと感じた。
今日は年に一度の慰霊祭である。
一年の間に用いた実験動物を弔う。我々は業が深い。
一人一人が慰霊碑の前に花を手向け、手を合わせる。
やはり宗教的な要素はない慰霊碑なのだろうか、などと考えながら寒さに耐える。
代表の教授が各研究室から報告された実験動物数の合算を読み上げる。
各研究室からの報告数を合わせると全部で万はゆうにこえている。
不謹慎だが、この時に珍しい動物の名前が上がるとなんだか面白い。
マウス、ラット、ジャンガリアンハムスターを始めとして、そのうちスンクスやモモンガの名前も出てきた。
久々に農場に来たのでヤギやウシも少し眺めて行く。
3年前に僕が担当していたウシはもういない。
みんなが農場の雌牛を世話する中、僕の担当は生まれたてのウシだった。
遼一と名前をつけ可愛がっていたが、名前からも分かるように雄だったので肥育農場へと売られて行った。美味しい黒毛和牛になっただろうか。
そんなことを思いながら、干草と獣の匂いを後ろに農場を後にした。
また来年。

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