2020年1月30日木曜日

数の例え

香山哲さんの『ベルリンうわの空』を読んでいたらつまづき石についての話が出てきた。
ナチスドイツに連行された人の住んでいた家、の前の石畳に嵌め込まれる石である。
誰が運ばれていったか、とかが分かるらしい。

香山さん曰く「その数は日本のコンビニの数より多い」

この時、僕らは「日本のコンビニの数は多い」と思う、と思う。
数が多い事を強調するために引き合いに出した物、だと思うからだ、と思う。
体を思う、オールフリー。

純粋に数字の大小を言う時はこの法則は当てはまらない。
「100は90よりも多い」と「100は1よりも多い」はどちらも「正しい」と感じる。

「メロンはみかんより大きい」
小学校の教科書に出てきそうな文章。
この時みかんが大きい気はしない……
と思ったけれど、アクセントを「より」につけて読むとみかんが大きく見えてきた。

アクセントをどこに置くか、は文章だけだと分からない気がするけれど、読みながら自然と置いて読んでいるのかもしれない。

「メロンはみかんより大きい」
という文も、僕からしてみればみかんと比較してもなぁ、と思うが、
「みかんより大きなフルーツは見たことがない」
という僻地の村の人が言えば説得力もある。

メロンかみかんか、どちらかを知らない人がいた場合はどうか。
ここでは「ポズラ」というみんなが知らないフルーツを例に出す。
適当な名前だから僕も知らない。

「メロンはポズラより大きい」
と聞いたらポズラはメロンほどではないが、それに準ずるほどの大きさがあるんだろうな、という気がする。僕らはメロンが大きい事を知っているから、ポズラも結構大きいと思う。

「ポズラはみかんより大きい」
と聞いたらポズラ少し大きめのみかんぐらいだろうと思う。みかんはそんなに大きくないから、ポズラもそれほど大きくないと感じる。

ここでそれぞれの文章は
メロン>ポズラ、ポズラ>みかん
と示している訳だが、これを聞いた人はおそらくどちらとも
メロン>ポズラ>みかん
だと感じていると思う。
しかし、想像しているポズラの大きさは両者で違っている。
答えは同じだけど、厳密には違う、そんなフィジーさ
が、なんか良いと思う。

2020年1月29日水曜日

あたま整えコース

「あたま燃えコース」
という張り紙が行きつけの整体院に貼ってあった。

「あたま燃え」とは何か。
燃えない頭を燃やす。
「あなたのやる気スイッチ探します」と同義かもしれない。

「四角い頭を丸にする」というクイズ番組が昔あった。
ゲームボーイのソフトを友達が持っていたから知っている。
「固い頭を柔らかくする」という事だろう。

つまり「四角い」というのには「固い」という意味があるらしい。
ここでいう「四角い」のはおそらく「四角形」ではなく、「立方体」を指しているような気がする。確かそんなイラストだったし。

立方体は固いだろうか。
立方体には辺があって角がある。
角は尖っているし、辺も一直線である。
きっと立方体が金属で出来ていたら、角は痛いし辺では指を切りそうな気がする。
「エッジが立っている」とも言える。

「丸い」物はどうか。おそらくここでは「球」を指していると思う。
球には角も辺もない。だから「柔らかそう」に見えるのかもしれない。
しかし刺さったり切れたりはしないにしても、金属の球に当たったら痛い。
柔らかくない「丸」である。
鉛玉、砲丸、囚人の足首につけた鉄球。
柔らかくない。そして重い。
円盤投げの円盤、ハンマー投げのハンマー、惑星。

柔らかい「四角」なら豆腐だ。間違いない。
スポンジ、ハンカチ、菱餅。
菱餅を生で見たことがないのだが、多分柔らかいだろう。

スポンジ頭を砲丸頭に。
スカスカの頭に中身が詰まった感じがする。
これはこれで良い。

ちなみによく見たら頭整えコースだった。