2017年11月29日水曜日

ふいんき

まだキーボードで文字を入力するのを覚えたての頃、そんな幼い時分には打とうと思った言葉を口で発しながらキーボードを叩く癖があった。
癖というか、そもそもそうしないと文字を打てなかった。

例えば「パイナップル」と打とうと思ったら、
「ぱ……ぱ……ぱ……い……い……」と文字を探す事となる。
あまりに時間がかかるのでタイピングゲームなどに挑戦しても、一つもクリア出来ず、楽しみ方が全く分からなかった。

そんな時、僕は「発音」と「文字」が必ずしも一致しない、ということに気がついた。
例えば僕は足で漕いで進むあの二輪の乗り物を、ケッタ又は「じでんしゃ」と言っていたのだが、「じでんしゃ」と打って変換すると「時電車」となった。
(もしかすると「じてんしゃ」ときれいに発音する方もおられるかも知れないが、そういう上品な方には今日の記事は読むに値しないかもしれない)
 
初めはどうして上手く変換出来ないのかが分からなかった。
「もしかするとコンピュータは自転車を知らないのかもしれない」
とまで思ったが、自転車は本来「じてんしゃ」であることに数日後に気がついた。

あるいは「すいぞっかん」である。
「すいぞっかん」に関しては1週間くらい分からなかった。
勝手にこっちで促音にしているだけで、本来は「ぞく」なのである。

これは大発見だと思い、母や父に話したが、僕の話は上手く伝わらなかったようで、二人の顔にクエスチョンマークが浮かんだのを子供なりに読み取った。

言い訳をさせてもらえば、「自転車」「水族館」に平仮名でルビを振れと言われれば、当時であっても正しく書けたはずなのだ。ただ、口で音を追いながらだと、正しいつづりを打ち込む事が出来なかったのである。

最近は「ふいんき」と打っても「雰囲気」と変換される。便利な世の中になったものだが、これでは今の子供は「じでんしゃ」「すいぞっかん」と覚えてしまうのではないか。これは由々しき事態である、日本の伝統はどうなる。
と、年寄りじみた思いで今日の記事を書き始めたが、2017年の暮れが近づいたというのに、「じでんしゃ」も「すいぞっかん」も正しく変換はしてくれなかった。
僕は時代の先を歩んでいるのだ。

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