昼と夕方のあわい、学食での優雅なティータイムを過ごしていた日のことだった。
幾らかの甘味をつまみながら、静かに喉を潤し、心を潤す。
それは動乱波乱に満ち満ちた学生生活での安らぎのひとときであった。
しかし、そのかけがえのない時間は無粋な侵入者によってかき乱された。
「クイニーアマンにクリームパンにクレープ……よくもまぁそんな甘いものばかり食べられるな」
山岸が困惑と驚嘆の入り混じる顔でそう言った。
おそらくは未開のジャングルで土を食べるサルを見つけた時にするような顔であった。
「ティーブレイクだ。甘いものは脳に良いだろうが」
そう言いつつクリームパンを口に放り込む。やわらかい皮からカスタードが飛び出てくる。至福。
「ティーブレイクたって、紅茶でも緑茶でもなくコーラじゃないか。第一、使いもしない脳に栄養を与えても無駄に肥えるだけだぞ」
山岸は吐き捨てるように言ってブラックコーヒーをずぞぞぞとすする。
学食には机でなにやら勉強したり寝てる学生が数人いるだけで、ただでさえ広い空間がより寂しく見えた。
一人で優雅に午後を過ごす俺のところに、どこからか山岸がやってきた。
「だいたいこんな時間に学食に何のようだ。コーヒーなら自販機で買えるだろ」
「こんな時間にクレープ食ってるようなやつに言われたくないね」
そういいながら山岸はクリアファイルから取り出したチラシを一枚こちらに寄越す。
そのチラシには大きく白ぶちの赤で「勤労感謝祭」と書かれていた。
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