2018年2月27日火曜日

野生の馬が絶滅していた話

やせいのうーまー やせいのうーまー やせいのうーまーはー

なぜー かーけーてーいくー(合唱:野生の馬


野生を失ってしまった。
さて、今日も野生味あふれる皆さん、いかがお過ごしだろうか。

先日こんなニュースが生物クラスタを賑わせた。


野生の馬はすでに絶滅していたことがDNA分析で判明 | 財経新聞 

読んでみてどうだろうか。
「なんか分かるようで分からない」
と思われたかもしれない。

「野生に生息していた野生種最後のウマだと思われていた馬」が「野生に生息していたが野生種でないウマ」だった、というようなことが書かれているのだが、何となく混乱するような話である。
しかも現在、野生では絶滅し飼育されている、というのだからより紛らわしい。
せっかくなので少し説明をしたいと思う。

まず今回テーマになっているのは「モウコノウマ」である。
モウコノウマは和名で、学名はプルツワルスキーという。

馬といえばサラブレットを想像する人も多いと思う。
あれはいわゆる「家畜馬」であり、人によって「家畜化」された馬である。
「家畜化」とは厳密にいえば、「品種改良をした」ということだ。

まず野生に暮らしていた馬の飼育を始める。
この時点ではまだ「家畜化」はされていない。
その後、他の立派な馬と掛け合わせて立派な仔馬を産ませた。
この「いい馬と掛け合わせていい仔馬を産ませる」ことが品種改良であり、これをもって「家畜化」が行われたという。
これを繰り返していくうちに、馬はもともとの姿と比べて、すっかり人に「都合のいい」姿に変化していく。背が高く、足が速く、健康な馬になり、人になつきやすくなったりもする。

こうやって人によって改良された馬が、「家畜馬」である。
そして人による改良を受けていない馬が「野生種の馬」なのだ。

つまり、記事の記述をかみ砕くと、「改良されてないと思った馬が、実は改良された後に逃げ出した馬だったよー」ということだ。

おそらく保全のためにモウコノウマを飼育していたが、明らかな「改良」は行っていなかったのではないか。たぶん自由に交尾させていたのだと思う。
なので今までは「飼育されている野生種の馬」だったのだ。

しかし、今回の研究結果によって、モウコノウマが野生種ではないことが判明した。
モウコノウマは現存する唯一の野生種(飼育されてはいるが)と考えられていた。
つまり、これをもって「野生種の馬」が絶滅したことになる。

そんなわけで、動物の数が減ったわけでもないのに、「絶滅」が起きた。
これは残念と同時に興味深いことでもあり、生物系クラスタが沸いたという次第だ。

今日は野生の馬に思いを馳せながら筆をおく。
みんなも思いを馳せながら野生の馬を歌ってほしい。
やせいのうまーやせいのうまー

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