2018年3月12日月曜日

中古本は悪か

最近、ブックオフオンラインのホームページが改善された。
前の非常に使いづらいシステムから、まぁまぁなシステムになった。

さて、Amazonという便利なサイトがある中で、なんでブックオフオンラインを使うかであるが「安い」に尽きると思う。
もちろん品揃えで見ればAmazonの方が遥かに良い(なんでもある)のだが、大きな違いは最低価格にある。
Amazonマーケットでの最低価格は1円である。
しかしこれにプラスして送料がかかる。
いま参考に見た中古の文庫本では257円だった。よって合計258円。

一方ブックオフオンラインでの最低価格は99円(たぶん)
さて、問題の送料であるがブックオフオンラインの場合、1500円以上の購入で送料が無料になる。この送料無料がブックオフオンラインを利用する主な理由である。
アマゾンだと送料が高くなるような大型本も気軽に注文できる。
到着は名古屋の我が家で1週間かからなかった。

安く本をまとめ買い出来てほくほくであるが、ここで一つ疑問が生まれる。

「もしかして僕はいけない事をしているんじゃないか?」

本には著者がいて、その本を売り出す出版社がいて書店がいる。
僕が中古で本を買った時、その誰にもお金が入らない。
(新品の本と中古の本の両方を取り扱う書店もあるが)

ある作家の作品が好きでも、ブックオフで中古価格が下がるのを待って買っていたら、いくら集めても作家にはお金が入らない。
作家の作品の売り上げとしてもカウントされないので、作品の人気が低く見積もられて連載が打ち切られる可能性もある。

最近は漫画村について漫画家が直接に注意喚起などを行っている光景を良く見る。
中古本ならばまだ新品での販売を経由しているが、それすら経由しない違法アップロードによるダメージはあまりにも大きいだろう。

しかし合法であるとはいえ、これほど大きくなった中古本市場が書籍業界に与えるダメージも大きいのではないだろうか。
かつて小型古書店が多かった頃は、欲しい中古本を入手するのは今よりもずっと困難だったはずだ。
しかし時間は流れ、ブックオフのような大型古書店が増え、そしてインターネットで手軽に古書を入手できるようになった。
(今はブックオフも苦しそうだが)

ここで一つ議題を考えてみる。
「古書店が無ければ新品の本の売り上げはあがるか」

・一点目(メリット)
漫画村問題でもよく見る意見としてあるのは「無料で読めるから読むのであって、金を出してまで買わない」というものである。
これは中古本でも同じで「中古で買えるから買う。新品では買わない」という集団が想定される。
しかしこの集団は中古本を買う集団の一部である。
ただの勘だが「8割」くらいじゃないだろうか。
2割くらいの人は書店で本を購入するようになる。

だがその人たちが中古で買っていた本を全て新品で買うようになるだろうか。
書籍にかける費用が今までよりもずっと大きくなるだろうか。
僕はならないと思う。
今まで中古本に使っていた費用で新品の本を買うと考える。
そのため、「2割」の人が中古本に使っていたお金がそのまま新品に回るかもしれない。


・二点目(デメリット)
これも漫画村と共通する問題であるが、「漫画村で初めて存在を知った」という意見である。
ブックオフを歩いていると新刊書店では出会えなかったような本に出会えることが多い。
特に漫画。
漫画は立ち読みしやすい。扱いの荒い子供もよく読む。そのため漫画にはカバーがかけられ中を確認できない。わざわざ店員さんに言って中を確認させてもらっている人なんて見たこともない。

僕もブックオフを通して新しくファンになった作者も多い。
少し古い作品を中古で買って、新作は新品で買い始めることも珍しくない。
もちろん中古でしか買わない集団も存在する。
漫画は星の数ほど(それほどはないが)あるのだし、作者に金が入らなくても構わないならば、安く本を手に入れる合理的な選択だと思う。

こうした本との出会いを新品書店が提供できてないのは事実である。
中が少し読めるようにした漫画も、基本的には新刊本のごく少ない冊数に限られる。
ニッチな漫画はどんどん埋もれていく。
SNSの口コミで売れる漫画も存在するが、それを見て「私たちも驚いた」とか言ってる出版社は自力で売る努力をすべきだと思うが。


とりあえず僕が思いついた大きな点はこの二つである。
1点目のメリットと2点目のデメリット、どちらが大きいと思うだろうか。
少し考えてほしい。

本当は「中が読める漫画は売れないのか」とか「全漫画家タレント化」みたいな話もしたかったのだが、長くなったので今日はここまでにする。

最後になるが「作者を応援するなら書籍を買うべき」とか「違法アップロードされた作品をみんなが読んだら文化が衰退する」という話を最近よく聞く。
「文化が衰退するのではなく、新しいフェーズへ移行する」という話も聞いた。

まぁ少なくとも出版社業界は衰退するだろう。それと文化はまた別の話だ。
ただ、出版社業界が衰退し余裕がなくなれば、これまで以上に実力が突出した人間以外は書籍を出せなくなるだろう。
今は誰でもインターネットに作品を投稿できる時代になった。
それは誰にでもチャンスがあると同時に群雄割拠の時代である。
作家をじっくり育てられる出版社というのがまだ必要なんじゃないかと僕は思う。
いま出版社にその力があるかは分からないが、5年後くらいにはもっと分かりやすくなっているだろう。

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