2017年10月26日木曜日

感染

たったったっ。古いコンクリートの階段を降りる。
今日の天気のせいだろうか、青いタイル張りの壁はしっとりと湿っていた。
ホームに僕が来るのを待っていたのだろうか、降りるや否やスピーカーから音楽が流れる。
ベストタイミング。心の中で小さくガッツポーズをする。
電車が大きな体を揺らしながら暗闇から現れる。
軋んだ車輪が声をあげ、押し出された空気は風となって頬をうつ。
けたたましいブレーキと空気の抜ける音がしてドアが開いた。

僕はなるべく自分から見て「イケてる」と思う人の横に座る。
(もちろんスペースがある時は妙に詰めたりはしない)
朱に交われば赤くなるのだ。少しでもイケイケオーラを分けて欲しい。
くたびれた諸兄の横は避ける。いつかそこに行きつくのだ、まだ急がなくても良い。

そしてショートカットの素敵な女性の横に座った時、それだけでその日は良い日だった気になる。そうすれば、あとの一日の残りは消化試合だ。
消化試合をほどほどに過ごすために今日も電車に乗る。

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